伝統
麦わら細工の由来
兵庫県伝統的工芸品指定 「麦わら細工」
麦わら細工には長い歴史と伝統があり、今より約300年前、城崎に湯治に来た因州(鳥取県)の半七という旅人が、竹笛やコマなどに色麦わらを貼って宿の軒先で売り、宿料の足しにしたのが始まりと言われています。
その後技術も長足の進歩を見て箱物や絵馬に細工したものもでき、ことに明治に入ってから高名な画家が来遊して下絵を描き、図案を与えて試作させた結果、芸術の香気高い作品が生まれ、他に類例のない工芸品として好評を得て参りました。
現在麦わらを染めて桐箱や色紙、独楽、土鈴等に張っています。
製作工程
1麦刈り
麦わら細工で使用する麦を刈ります。
2硫黄燻蒸
漂白、殺菌をします。
3乾燥
2週間程硫黄燻蒸した麦わらを乾燥させます。
4節切り
細工には不必要な節を切り取ります。
5湯煮
お湯と重曹で麦わらを煮ます。
6漂白
湯煮をすると色が変化するので漂白し白色に戻します。
7染色
麦わら細工に使用する色に染めます。
(染には塩基性化学染料を使用します。)
8割り開く(伸ばす)
筒状の麦わらを割り開き伸ばします。
開く前に麦わらを湿らせて開きやすくする。
9細く切る(キカイ引き)
約0.5~3ミリの等間隔で薄刃を台に取り付けた道具で麦わらを細く切ります。
細く切る工程をキカイ引きと呼びます。
10糊練り
ごはんで糊(続飯)を作ります。
11合わせ物
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キカイ引きした麦わらを糊でつなぎ合わせ縞物にします。
さらにここから「木ザラシ」「市松」「矢ノ羽」等の柄を作るには「紙はりもの」「小筋裁ち」「小筋合わせ」という工程が必要となります。紙はりもの
和紙に麦わらを張る作業です。 -
小筋裁ち
木ざらしや市松模様を作る為に紙はりものを裁つ作業になります。 -
小筋合わせ
裁ち終わった後、柄を作る為にずらしていく作業を言います。
12へりとり
箱などのふちを作ります。
「へり」とは端を意味します。
13線引き
箱に下書きをします。
14はりつけ作業
箱の上に麦わらをはりながら切って張りつめます。
15完成
木(もく)ざらし
木ざらしは麦わら細工の紙はり小筋のうちの一つの技法になります。
市松よりずっとカラフルで繊細に裁ち、ずり上げずり下げて板目の様な文様を現したものです。
木ざらしというのもこのあたりからきている様です。
小市と同じ菱や亀甲を切り込んでポイントとし小筋文様を一層華麗なものとなります。
市松(いちまつ)
市松文様は江戸時代の歌舞伎役者佐野川市松が舞台衣装裏などに好んで愛用した図柄であったため、市民生活の中にも広まりその名前が定着したと伝えられています。
因みに日本文様事典によると、大きいものは「石だたみ」文、小さなものは「あられ」文記述されている。
正方形を縦横に整然と並べ、一つ置き色を変えた単純な構成で建築、衣服、器物など日常のどこでも見られる柄になります。
用語
匠の紹介
神谷 元二郎初代
神谷 元二郎初代
1897年 | 城崎町に生まれる |
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1929年 | 天皇陛下関西行幸の際、賜御買上光栄 |
1963年 | 神戸新聞「この道ひとすじ」に掲載 |
神谷 勝二代目
神谷 勝二代目
1941年 | 城崎町に生まれる |
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1959年 | 麦わら細工の世界に入る |
1977年 | かみや民芸店を開店 |
1987年 | 城崎町指定無形文化財 城崎麦わら細工工芸技術保持者に指定 |
1989年 | 兵庫県技能功労賞を受賞 |
2004年 | 兵庫県ふるさと文化賞を受賞 |
2004年 | 皇太子殿下(現在の天皇陛下)ご夫妻に、愛子様誕生祝いとして「大文庫・コウノトリ」を献上 |
2013年 | 麦わら細工奉納額を但馬の寺、神社へ奉納 |
2015年 | 東京都美術館にて日本手工芸展準大賞を受賞 |
2016年 | 朝展2016準大賞を受賞(あさご芸術の森美術館) |
2016年 | 豊岡市無形文化財保持者に認定 (豊岡市教育委員会) |
2019年 | 兵庫ふれあい美術展 兵庫県議会議長賞を受賞 |
2021~2022年 | 城崎文芸館にて神谷勝展を開催 |
神谷 俊彰三代目
神谷 俊彰三代目
1965年 | 城崎町に生まれる |
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1985年 | 京都芸術短期大学(現在の京都芸術大学)日本画卒業 |
1985年 | 着物、帯に金彩加工を施す(株)千扇に入社 |
1991年 | 麦わら細工の世界に入る |
2009年 | 城崎麦わら細工技術者の会への承認を得る |
2013年 | 「角箱(大)小筋張」が五つ星ひょうごに認定 |
2015年 | 「小物入(名刺入)」が経済産業省「The Wonder 500」に選定される |
2017年 | JR西日本「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の全客室用に麦わら細工製アメニティボックスを制作 |
2019年 | 兵庫県技能顕功賞を受賞 |
2021年 |
第58回 県展にて兵庫県芸術文化協会賞を受賞 第23回 宝塚市手工芸展にて優秀賞を受賞 第67回 豊中市美術展にて美術協会賞を受賞 |
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